産婦人科の病気 2.性感染症
1. 性感染症の定義と最近の動向
- ・性的接触によってうつる感染症。
- ・かつては性病と呼ばれ、歓楽街の風俗嬢と性交渉をもった男性がかかる感染症であった。(梅毒、淋病)
- ・最近特に増えているのはクラミジア感染症。
自覚症状に乏しく、適切な治療がされないまま感染が周囲に蔓延していくため、20才前後の若者に多い。
- ・それに次いで淋病、ヘルペス、コンジロームも比較的多い。
- ・様変わりした風俗店(ヘルスなど)の感染者が増えているので要注意
2.性感染症の原因となる主な病原体と症状・疾患名
病原体
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症状
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疾患名
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クラミジア |
帯下(おりもの) |
子宮頸管炎 |
淋菌 |
帯下 |
子宮頸管炎 |
トリコモナス原虫 |
帯下、かゆみ |
膣炎 |
カンジダ(真菌) |
帯下、かゆみ |
膣炎、外陰炎 |
ヘルペス・ウィルス |
外陰違和感 |
有痛性の小水疱疹 |
パピローマ・ウィルス |
疣状隆起 |
外陰・膣コンジローマ |
梅毒 |
自覚症状に乏しい |
梅毒 |
HIVウィルス |
自覚症状に乏しい |
エイズ |
3.性感染症の診断法
病原体
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診断法
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クラミジア |
子宮頸管粘液による核酸増幅又は同定精密検査 |
淋菌 |
子宮頸管粘液による核酸増幅又は同定精密検査 |
トリコモナス原虫 |
膣分泌物の顕微鏡検査 |
カンジダ(真菌) |
膣分泌物の顕微鏡検査、培養同定検査 |
ヘルペス・ウィルス |
特徴的な小水疱疹で肉眼的に診断 |
パピローマ・ウィルス |
特徴的なカリフラワー状隆起で肉眼的に診断 |
梅毒 |
血液検査 |
HIVウィルス |
血液検査 |
4.性感染症の治療
病原体
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治療法 |
クラミジア |
有効な薬剤(抗生物質)の内服 |
淋菌 |
有効な薬剤(抗生物質)の内服、注射 |
トリコモナス原虫 |
膣洗浄と有効な膣座剤の挿入、内服薬治療 |
カンジダ(真菌) |
膣洗浄と有効な膣座剤の挿入(内服薬は無効) |
ヘルペス・ウィルス |
外科的治療(切除、凍結、レーザー治療) |
パピローマ・ウィルス |
特徴的なカリフラワー状隆起で肉眼的に診断 |
梅毒 |
有効な薬剤(抗生物質)の内服・注射 |
HIVウィルス |
有効な薬剤(抗生物質)の内服・注射 |
感染力の強い性感染症はセックス・パートナーの同時治療が大事です。
例)クラミジア、淋病、トリコモナス
クラミジア・淋菌頸管炎の治療のポイント
- 治療は有効薬剤を淋菌では3~5日間、クラミジアでは7~14日間内服する。
- 処方された薬は必ず全部内服する。
- 女性患者本人の治療に加え、パートナーの検査と治療を
- 再発チェックのため、数ヶ月後に再度検査をする。
性感染症の予防・早期診断治療の勧め
- ・コンドームの使用
- ・少しでも感染の心配があれば、早めに産婦人科で診察を受ける。
- ・クラミジア・淋病は放置しておくと将来、不妊症、子宮外妊娠の原因になる。