不妊症とは/コラム4・・・今話題の情報

不妊症とは?

結婚して2年以上たっても妊娠しない時、その夫婦は不妊症と言えます。夫か妻、または両方にいろいろな原因があって妊娠できないのです。何故妊娠できないか、できるだけ早く診察を受け、不妊の原因を確かめる必要があります。

不妊の原因にはどんなものがあるか?

不妊の原因には次に示すような原因が挙げられています。

1. 妻側の原因

  • a.排卵障害 間脳下垂体性排卵障害、高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣、卵巣性排卵障害
  • b.卵管の異常
  • 狭窄、癒着、閉鎖、卵管水腫
  • c.子宮体部の疾患 筋腫、腺筋症、先天奇形、発育不全、子宮腔内癒着
  • d.子宮頚管因子 粘液分泌不全、頚管炎(淋菌、クラミジア感染症など)
  • e.子宮内膜症、チョコレート嚢胞
  • f.黄体機能不全
  • g. 免疫性不妊 抗精子抗体陽性

2.夫側の原因

  • a.精子の異常 無精子症、乏精子症(精子が少ない)、精子無力症(運動率が低い)、奇形精子症(奇形精子が多い)
  • b.性交障害 勃起不全(ED)など

もちろん夫婦両方に原因があったり、原因不明の場合もあります。

不妊の原因を見つけるための基本検査は?

不妊の原因を明らかにするには、性周期の時期に合わせて必要な検査を受けなければなりません。もちろん女性だけでなく男性側の検査も必要です。基本的な検査以外の詳しい検査が必要な場合は精密検査が行われます。

1) 女性側検査

検査名 目的 時期
卵管疎通性検査(子宮卵管造影、通気通水、超音波卵管造影) 卵管の通過性、子宮の形の異常 月経終了後排卵までの間
頚管粘液検査、フーナーテスト 頚管粘液の性状と精子との適合性 排卵期
超音波断層法 卵胞の発育、内膜の厚み、排卵の確認、筋腫や卵巣嚢腫の診断など 適宜
黄体ホルモン、プロラクチン測定 黄体機能不全、高プロラクチン血症の診断 高温期中期
LH-RHテスト 卵巣機能の検査 月経3~5日目
クラミジア抗原、抗体 クラミジア感染の有無 適宜
抗精子抗体、自己抗体 免疫性不妊の診断 適宜

2)男性側検査

検査名 目的 時期
精液検査 精子濃度、運動率、奇形率 数日間禁欲後
ホルモン検査 精巣機能 精液検査で異常があった場合

不妊治療はどのように行われるか?

検査の結果原因が明らかになった場合は、まずその原因を取り除くことを中心に治療が開始されます。原因療法を行っても妊娠しない場合や原因のはっきりしない場合は、妊娠の確立を高めるために治療の内容を段階的にステップアップしていきます。

不妊のステップアップ治療法
体外受精(顕微授精)
腹腔鏡検査・手術または開腹手術
ステップ4
過排卵刺激、人工授精、黄体期補充、卵管通水
ステップ3
長期難治性不妊
タイミング法(3~6ヶ月)
ステップ2
子宮内膜症、卵管性不妊、子宮筋腫、卵巣嚢腫
ステップ1
排卵障害、男性因子、黄体機能不全、原因不明
不妊原因の精査と治療方針の説明
  • 1) ステップ1
    不妊原因の精査と治療方針の説明を行いつつ、タイミングを合わせることを主体に3~6ヶ月程妊娠を期待します。
  • 2) ステップ2
    排卵障害には排卵誘発剤の内服や注射を用いて排卵させます。男性因子や頚管因子には人工授精を行います。黄体機能不全には黄体ホルモンやhCGを投与して着床しやすくします。
    原因不明不妊には過排卵刺激、人工授精、卵管通水などを組み合わせて妊娠の確立を高めます。
  • 3) ステップ3
    子宮内膜症、卵管因子、子宮筋腫、卵巣嚢腫などがある場合は、腹腔鏡または開腹により手術的に妊娠しやすくすることを考えます。また大きな異常がないのにステップ2までの治療で妊娠しない場合は腹腔鏡検査を考慮します。
  • 4) ステップ4
    ステップ3までの治療で妊娠しない長期難治性不妊の方は、体外受精や顕微授精などの高度生殖補助技術を受けることになります。
    もちろんすべての方がこのステップ通りに段階的に進まなければならないということではなく、原因の程度や年齢などによっては省略されるステップもあります。
    • 体外受精-胚移植とは?

      もともと体外受精-胚移植は卵管性不妊の治療法として開発され、1978年にイギリスで初めて成功した方法ですが、現在では重症男性不妊、子宮内膜症、原因不明不妊などすべての長期難治性不妊に対して行われています。現在日本ではどの位の体外受精が行われているかというと、2002年の統計では、一年間に83651回の体外受精(顕微授精、凍結胚移植も含む)が行われ15223人の赤ちゃんが生まれています。日本産科婦人科学会が調査を始めた1986年以来の累計では100189人に達しています。体外受精はいくつかのステップからなりたっていますが、大きく分けると以下の6つに分類されます。

      1) 卵巣過排卵刺激

      自然周期では通常1個しか卵胞が育たず採卵の確率が悪くなるため、体外受精では排卵がある人にも何らかの排卵誘発剤を使用して、一度にたくさんの卵胞が育つように卵巣を刺激します。その際途中で排卵してしまって採卵できなることを避けるために、GnRHアゴニストまたはアンタゴニストと呼ばれる薬剤を並行して使用するなど、卵巣過排卵刺激の方法には多くのバリエーションがあります。

      2) 採卵

      顕微受精卵胞が十分に育ったところで採卵が行われます。採卵は通常経膣超音波装置を用いて膣から卵巣に細長い針を刺して卵胞液を吸引することで行われます。卵胞液の中から卵子を探し出して培養器の中で保管します。

      3) 卵子と精子の受精

      通常精子に異常がない場合は卵子に精子を混ぜるだけで60~70%が受精します。しかし精子に異常がある場合は受精しないことが多いため、顕微鏡を見ながら卵子に精子を一匹だけ注入してやるという方法をとります。前者を媒精、後者を顕微授精と呼んでいます。現在では無精子症の男性でも、精巣から手術的に精子が採取(この方法をTESEといいます)できれば顕微授精で受精卵を得ることは可能です。

      4) 受精卵の培養

      正常に受精した卵を通常2~3日培養すると4~8細胞の胚に発育します。さらに2~3日培養を続けると一部は胚盤胞と呼ばれる段階まで発育します。

      5) 胚移植

      胎盤胞胚移植は通常採卵後2~3日目に行われます。多胎の問題があるため戻せる個数は最大でも3個までです。細いカテーテル(チューブ)に胚を吸っておいて子宮内に注入します。最近では胚盤胞の段階で胚移植する方も増えてきましたが、良好な胚盤胞は着床率が高いため、移植する数を制限でき多胎を減らせるというメリットがあります。胚移植しなかった良好胚は凍結保存しておき、採卵周期以後にあらためて胚移植することが可能です。

      6) 黄体期管理と妊娠判定

      胚移植後は着床を促すために黄体ホルモンを補充します。通常移植後2週間目に妊娠の判定を行います。

      特定不妊治療助成事業

      体外受精や顕微授精には今のところ健康保険の適用がなく、全額自費診療となってしまうため多額の費用がかかってしまいます。負担を少しでも軽減しようと、愛知県でも平成16年7月より特定不妊治療費助成制度が発足しています。この制度は、指定された医療機関において、特定不妊治療(体外受精か顕微授精)を受けた夫婦を対象に、1年度あたり10万円を限度に助成金(1夫婦への助成は2ヵ年度が限度)を支給するものです。

      名古屋市、豊田市、豊橋市およびそれ以外の愛知県内の指定医療機関名は愛知県のホームページで確認できます。

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